2.母子・父子・ひとり親世帯の貧困率

 ひとくちに「母子世帯」「父子世帯」といってもその定義は様々で、異なる調査で同じく「母子世帯」「父子世帯」と言っていても、定義を詳しくみないと、正しく解釈できません。

 

 母子世帯や父子世帯は、増えてきているとはいえ、まだ少数です。通常の無作為に対象者を選ぶ調査で、統計的に耐えうる十分な数の母子・父子世帯の標本を得るためには、相当大規模な調査でなければなりません。

 もうひとつの方法としては、母子・父子(ひとり親)世帯のみを対象とした特別な調査を行うことです。

 

 現在、母子・父子世帯の貧困率として公的な機関から発表なされている統計データは、この二つのどちらかになります。

 

1) 大規模調査で、世帯類型のひとつとして母子・父子・ひとり親世帯別の推計があるもの

<1> 厚生労働省「国民生活基礎調査」の大調査年を用いた推計 

 厚生労働省 (2014)     → データはこちら

 1985年から2013年まで3年ごとの相対的貧困率を推計している。ただし、ここでの定義は、「子どもがいる現役世帯で、大人が1人の世帯」。

 子どもの定義は17歳以下、大人は18歳 以上なので、たとえば、姉19歳、妹15歳の姉妹を抱える母子世帯は、この定義には当てはまりまん。また、祖父母など他の大人が同居している場合も除かれます。また、大人の年齢現役(18歳から65歳)と限定しています。

 

 内閣府男女共同参画会議 (2011)

 子世帯の定義は「18歳以上65歳未満の母と20歳未満の子のみでなる世帯?」。上と同様に祖父母や成人した子などがいるひとり親世帯は含まれません。日本では母子世帯の3分1が父母と同居しているため、いささか狭義の定義となります。また、母親の年齢も制限されています。

 

 UNICEF (2012)

UNICEFやOECDが国際比較分析をする際の日本のデータは、国立社会保障・人口問題研究所の研究者が拠出していますが、元のデータは上記2つと同様の「国民生活基礎調査」です。しかし、UNICEFやOECD独自の「ひとり親世帯」の定義方法があるので、上と同じ数値にはなりません。                                                                                                                                    

 

<2> それ以外の調査を用いた推計 

  社会保障実態調査 (国立社会保障・人口問題研究所 2007)     → データはこちら

  社会保障実態調査」の生活困難(食糧の困窮、衣服の困窮、医療サービスの受診抑制、家賃、ガス、電気、電話などの支払い

  滞納経験)を、世帯類型別に出している。「ひとり親世帯」を (二世代)か(三世代)か分けて集計している。母子と父子の区

  別はありません。  

   

  

    生活と支え合いに関する調査(旧社会保障実態調査)(国立社会保障・人口問題研究所 2012)    → データはこちら

     この調査は、ほぼ5年ごとに実施されるもので、2007年調査につづく、第1回調査となります。調査の目的は、人々の生活、

  家族 関係と社会経済状態の実態、社会保障給付などの公的な給付と、社会ネットワークなどの私的な支援とが果たしている

    機能を把握することにあります。人々がどのように日々の暮らしを送っているのか、親や子、地域の人々とどのようにつなが

    り、それがどのように生活を支えているのか、それに対して社会保障制度はどのように役だっているのか、これらを正確に把

    握することを目的としています。

  

    生活と支え合いに関する調査(旧社会保障実態調査)(国立社会保障・人口問題研究所 2012)    → データはこちら

     この調査は、ほぼ5年ごとに実施されるもので、2007年調査につづく、第1回調査となります。調査の目的は、人々の生活、

  家族 関係と社会経済状態の実態、社会保障給付などの公的な給付と、社会ネットワークなどの私的な支援とが果たしている

    機能を把握することにあります。人々がどのように日々の暮らしを送っているのか、親や子、地域の人々とどのようにつなが

    り、それがどのように生活を支えているのか、それに対して社会保障制度はどのように役だっているのか、これらを正確に把

    握することを目的としています。

  

2)ひとり親世帯を対象とした調査

   全国母子世帯等実態調査 (厚生労働省、約5年周期)

    厚生労働省が5年毎に行っている全国規模の調査。以下の3つの世帯を対象としています。

           1.母子世帯=父のいない児童(満20歳未満の子どもであって、未婚のもの)がその母によって養育されている世帯

         2.父子世帯=母のいない児童がその父によって養育されている世帯

         3.養育者世帯=父母ともにいない児童が養育者(祖父母等)に養育されている世帯

 

       一番広義の定義で母子世帯・父子世帯を規定し、包括的ではありますが比較対象となる一般世帯のデータがありませんので、

      相対的貧困率は計算できません。けれども、平均所得や、「年間所得が○○○万未満の世帯」などといった所得分布は求める

      ことができます。